
はじめに
SAPシステムを利用する際、通常PC上のSAP GUIアプリを立ち上げ、そこからトランザクションコードを入力して実行しますが、近年は Fiori Launchpad からブラウザ上で SAP GUI トランザクションを起動できるようになっています。
普段BTP界隈にいる我々ですが、案件の都合でオンプレミスのS/4 HANAを触る機会をいただき、上記の検証を試行錯誤で行っていました。
そこで今回の記事では、オンプレミスのS/4 HANAにおいてSAP GUI の画面を Fiori Launchpad から開く方法をご紹介します。普段 SAP GUI を扱う方、特に初めてオンプレミスのS/4 HANAを扱う方の参考になれば幸いです!

WebGUIの有効化
Fiori Launchpad から SAP GUI の画面へアクセスするには、まずWebGUI(SAP GUI for HTML)の有効化が必要です。これは本来デスクトップアプリである SAP GUI の各画面を、Webブラウザからでもアクセス可能にする設定です。
WebGUIの有効化には以下3つのサービスを有効にします。
- /sap/bc/gui/sap/its/webgui
- /sap/public/bc/ur
- /sap/public/bc/its/mimes
トランザクションコード『SICF』でそれぞれのサービスパスまで移動し、サービスを有効化してください。



有効化後、『http://{ドメイン:ポート}/sap/bc/gui/sap/its/webgui』へ遷移し、webGUI画面が表示されていることを確認しましょう。

ターゲット・タイルの設定
続いて、有効化したWebGUIを Fiori Launchpad に表示させるため、ターゲット と タイル を作成し、関連付けます。
ターゲットの新規作成
| 項目 | 入力値 |
| セマンティックオブジェクト | 対象のセマンティックオブジェクト名 |
| アクション | 対象のアクション名 |
| アプリケーションタイプ | トランザクション |
| トランザクション | 表示させたいトランザクションコード |
対象のカタログでターゲットを新規作成し、以下のように設定します。
タイルの新規作成
続いてタイルも新規作成し、以下の通り設定します。
| 項目 | 入力値 |
| タイトル | タイルに表示させるタイトル |
| セマンティックオブジェクト | ターゲットと同じセマンティックオブジェクト名 |
| アクション | ターゲットと同じアクション名 |
最後に、作成したタイルを対象のページに追加して設定は完了です! Fiori Launchpad をリロードしてタイルが反映されていることを確認しましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
Fiori Launchpad でアプリへのアクセスを一元化してしまえば、例えば Fiori アプリからWebGUIアプリを呼び出すといった連携も可能になり、アクセス方法の幅が広がるほか、パフォーマンスやUI/UXの向上も見込めますね。
さらに、クラウドコネクタの設定もしてしまえば、SAP Build Work Zone へタイル情報を連携し、そこからWebGUIアプリを開くことも可能です。
ただし、トランザクションによってはWebGUIに対応していないものがあったり、ブラウザによって表示できるかどうかが異なる場合もあるようです。そのため、表示したい GUI アプリがWebGUIに対応しているかは事前に確認が必要です。
参考:https://help.sap.com/docs/build-work-zone-advanced-edition/sap-build-work-zone-advanced-edition/supported-platforms-products
WebGUIを活用して、より便利に Fiori Launchpad を使いこなしてみてくださいね!
投稿者プロフィール

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2022年新卒入社。Vue.js と Spring boot を用いた社内用経歴管理の開発に1年間携わり、現在は SAP Fiori を用いた開発案件を担当しております。「理解しやすいコード・使いやすいUI・伝わりやすい資料」を作れる人になるために日々勉強中です。
趣味は絵を描くことです。



