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CCH® Tagetikの為替換算を徹底解説!3つのレートタイプと換算ロジックの違いとは?

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はじめに

グローバルに事業を展開する企業にとって、連結決算や海外子会社の予算管理における「為替換算」は、避けて通れない重要なプロセスです。経営管理プラットフォームであるCCH Tagetikは、この複雑な為替換算を柔軟かつ正確に行うための機能を備えています。しかし、「どのレートタイプ(換算方法)を使えばいいのか?」「どのような換算方法なのか?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。その疑問にお答えするために、具体例を交えてレートタイプ別に表示結果がどのように変わるのかをまとめてみました。

■CCH Tagetikが標準で備える、代表的な3つの為替レートタイプ

まずは、基本となる3つのレートタイプと、それぞれの適用対象となる勘定科目の性質を整理します。

■BSとPLで利用できるレートタイプ(換算方法)が違うのはなぜ?

上表の通り、BSには「期末為替レート」、PLには「平均為替レート・期別平均為替レート」が適用されます。ではなぜレートタイプを使い分ける必要があるのでしょうか?それにはBSとPLのデータの性質(持ち方)を理解する必要があります。BSは「ある一時点の財産」、PLは「ある一定期間の成績」を示しているため、それぞれに合ったレートを使う必要があるのです。

BS勘定(ストック)

BS勘定の数値は、特定時点での残高(ストック)を表し、決算日などの特定の一日における会社の財産(資産・負債・純資産)を示す「財産目録」です。その瞬間を切り取ったスナップショットだと考えてください。

PL勘定(フロー)

PL勘定の数値は、1年間や1ヶ月間といった一定期間内に発生した取引の積み重ね(フロー)を表し、会社の経営成績(売上・費用・利益)を示す「活動記録」です。例えば、売上高は月ごとに発生し、期末には年間の累計額として集計されます。CCH Tagetikでは、PL勘定の数値は年度累計(YTD)としてデータが保持されます。

図:BSとPLのデータ保持イメージ図

上記の性質からBS勘定は換算レートもスナップショットを撮った「決算日当日」時点のレート(期末為替レート)を使います。

それに対しPL勘定の売上や費用の発生は、期間を通じて毎日起こります。これらの取引すべてに決算日のたった一日のレートを適用すると、実態と大きくかけ離れてしまいます。そこで、期間中の取引価値を公平にならすため、その期間の「平均的」なレート(平均為替レート・期別平均為替レート)を用います。

■どのレートタイプを使えばいいのか?

どの為替レートタイプを利用するかは、何を見たいのか(目的)によって決まります。


BSの場合はわかりやすく期末為替レートで問題ないと思いますが、PLの場合は平均為替レートと期別平均為替レートで複数選択することが可能です。平均為替レートは会計期間中(年単位等)の為替レートの平均値で換算したい場合に利用し、期別平均為替レートは年間の平均為替レートをさらに細分化したもので、月次や四半期毎の平均レートで換算したい(業績の実態を正確に把握したい)場合に利用します。
 ここで1つ疑問に思われることがあるかと思います。平均為替レートを利用する場合でも各ピリオド毎にレートを個別に設定すれば、期別平均為替レートと同じ結果になるのではないか?
答えはNoです。
理由は設定するレートの値が同じであっても、平均為替レートと期別平均為替レートでは内部的な換算ロジックが異なるからです。
文章ではイメージしづらい部分もあるかと思うので、以下のように各シナリオ毎に異なるレートを設定し、それぞれのレートタイプが実際どのように換算されるのかを具体的に見ていきましょう。
比較しやすいように、全てのレートタイプでレートは同じにしてあります。

1.期末為替レート(BS勘定の換算)の換算結果イメージ

期末為替レートは、登録データの各月の金額に対して、その月の期末為替レートを単純に乗じて換算します。

  • 計算式: 各月の金額 × 各月の期末為替レート
    例)5月を例にすると、5月の金額(2)に対して、5月の為替レート(161)を乗じて算出されます。(2 × 161 = 322)

2.平均為替レート(PL勘定の換算)の換算結果イメージ

当月までの累計額に対して、その月の平均レートを単純に乗じて換算します。ピリオドレングスの単月、四半期の表示については換算後累計表示の金額を元に計算されています。

  • 計算式(換算後 累計表示の場合): 各月の累計額 × 各月の平均為替レート
    例)5月を例にした場合、5月の累計金額(2)に対して、5月の為替レート(161)を乗じて算出されます。(2 × 161 = 322)
  • 計算式(換算後 単月表示の場合): 当月累計と前月累計との差を表示
    例)5月を例にした場合、当月(5月)の換算後累計金額(322)に対し前月(4月)の換算後累計金額(160)の差が換算後単月金額になります。(322 – 160 = 162)
    ※5月の単月金額(1)に対して、5月の平均為替レート(161)を乗じているわけではありません。
  • 計算式(換算後 四半期表示の場合): 単月の金額を四半期単位で合計しています。
    例)9月(第2四半期)を例にした場合、7月、8月、9月の換算後単月金額(166、168、170)を合計した値が9月の換算後四半期金額に設定されます。(166+168+170=504)

3.期別平均為替レート(PL勘定の換算)の換算結果イメージ

当月までの累計額とその月のレートを単純に乗じるわけではありません。代わりに、単月に発生した金額を、それぞれの月の為替レートで個別に換算し、その結果を積み上げていきます。
(※シナリオ次元にあるピリオドの設定でピリオドレングスに1を設定している場合)

  • 計算式(換算後 単月表示の場合: (各月の単月金額×各月期別平均為替レート)
    例)4月単月金額(1)× 4月期別平均為替レート(160)
      5月単月金額(1)× 5月期別平均為替レート(161)
      :
      3月単月金額(1)× 3月期別平均為替レート(171)
  • 計算式(換算後 累計表示の場合: 換算後単月金額の合計金額
    例)(1月単月金額×1月期別平均為替レート) + (2月単月金額×2月期別平均為替レート) +
      + (12月単月金額×12月期別平均為替レート)
  • 計算式(換算後 四半期表示の場合: 換算後単月金額の合計金額
    例)第1四半期:(1月単月金額×1月期別平均為替レート) + (2月単月金額×2月期別平均為替
      レート) + (3月単月金額×3月期別平均為替レート)
      :
      第4四半期:(10月単月金額×10月期別平均為替レート) + (11月単月金額×11月期別平均
      為替レート) + (12月単月金額×12月期別平均為替レート)

(補足:四半期累計換算ではピリオドレングスを123123123123と設定して使用します。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。CCH Tagetikにおける為替換算のポイントは、BS勘定(ストック)とPL勘定(フロー)というデータの性質の違いに基づき、適切なレートタイプ(換算ロジック)を選択することが大切です。

特に平均為替レートと期別平均為替レートについては換算ロジックが異なるので、この違いを理解し、適切に設定することで、より正確で信頼性の高いグローバル経営管理を実現できます。ぜひ、自社の設定を見直す際の参考にしてみてください。
こうした換算ロジックを自動的かつ一貫性を持って管理できる点は、Excelによる手作業管理では実現が難しく、CCH Tagetikの大きな特長の一つです。

※本記事は、株式会社KYOSOによる技術検証の経験に基づいたものであり、CCH Tagetikの公式ドキュメントではありません。 製品のアップデートにより、本記事の内容が最新の仕様と異なる可能性があります。導入に際しては、最新の公式情報をご確認ください。

 https://www.wolterskluwer.com/ja-jp/solutions/cch-tagetik

投稿者プロフィール

小谷口 隆朗
小谷口 隆朗
2020年1月入社(中途採用)
前職では製造業システムの運用・保守をしており、入社してからはKintone、SAP Analytics Cloud(以下SAC)、CCH® Tagetikといったパッケージツールの開発を担当していました。現在ではSAC、CCH® Tagetik開発のチームリーダーを担当しており、会計領域の業務知識の習得に努めています。

SAC関連では以下のイベントに参加
2021年3月 SAP Inside Track Tokyo(発表)
2022年2月 SAP Inside Track Tokyo(発表)
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