はじめに
社内で蓄積したデータをBIツールで分析するためには、データベースからBIツールへデータを連携する必要があります。
本記事では、Salesforce社が提供するBIツールの Tableau に関して、Tableau Bridgeを利用し、プライベートなデータベースからTableau Cloudへのデータ連携を行う方法を解説します。オンプレミスやクラウド上のプライベートサーバのようにファイアウォール等でデータが保護されている場合は、Tableau Cloudへ直接データ連携を行うことができません。その場合、Tableau Bridgeを利用することで実現可能となります。
※Tableauの概要や利点については、下記の記事をご覧ください。
【Tableau】初心者向けに徹底解説!〈前編〉:概要、利点、製品カテゴリについて
※Tableau製品の概要については、下記の記事をご覧ください。
【Tableau】初心者向けに徹底解説!〈後編〉:具体的な製品例と使用方法について
本記事をお読みいただくことで、「Tableau Bridgeの概要」「システム構成」「設定方法」を学び、
最終的にTableau Bridgeを介したプライベートなデータベースからのデータ連携を行うことができます!
Tableau Bridgeについて
Tableau Bridgeは、Salesforce社が提供するTableau製品の一つです。公式ツールとして唯一、オンプレミスやクラウド上のプライベートなデータベースからTableau Cloudへデータの受け渡しを行うツールです。
※Tableau Bridgeの詳細については、下記の記事をご覧ください。
【Tableau】初心者向けに徹底解説!〈後編〉:具体的な製品例と使用方法について
「Tableau Bridge」
システム構成について
今回解説する方法では、下記のサービスを使用します。
Tableau
・Tableau Cloud
・Tableau Bridge
・Tableau Desktop(+MySQLコネクタ)
AWS
・EC2
・RDS(MySQL)※Private subnet
システム構成図は、下記のとおりです。

Private subnet内のRDSにTableau Cloudから直接アクセスできないため、EC2を介してアクセスする必要があります。このEC2は、RDSと同一VPC かつ Public subnet内に配置します。
まず、EC2にインストールしたTableau Desktopを使用し、Tableau Cloudにデータソース(※)を作成します。
作成したデータソースを使用し、EC2にインストールしたTableau Bridbeを介することで、データを取得することができます。
※ データソース:データ取得元の接続情報や項目情報を定義したファイル
以降の章で、「EC2とTableau Cloud間の接続設定方法」「データソースの作成方法」について、解説します。
EC2とTableau Cloud間の接続設定
EC2とTableau Cloud間の接続設定を行うには、EC2とTableau Cloud側でそれぞれ設定が必要です。

EC2の設定方法
1.EC2にリモートデスクトップ接続を行う。
※リモートデスクトップ接続方法については、下記ブログを参照。
[AWS] EC2へのリモートデスクトップ手順 (2021年版)

2.リモートデスクトップ接続したEC2上で、Tableau Bridgeダウンロードページへアクセスし、
「最新バージョンを見る」ボタンを押下する。

3.「ログインする」ボタンからTableauユーザーでログインする。

4.「ファイルのダウンロード」の下にあるリンクを押下し、
任意のフォルダにTableau Bridgeのインストールファイルをダウンロードする。

5.ダウンロード完了後、Tableau Bridgeのインストールファイルを実行し、インストールを行う。

6.インストール完了後、Tableau Bridgeを起動し、Tableauユーザーでサインインする。
※ロール(権限)が下記のユーザーでログインする必要がある。
抽出接続の場合
※どのロールでも同一の操作が可能。
・Creator
・Explorer(パブリッシュ可能)
・サイト管理者(サイト管理者 Creator、サイト管理者 Explorer)
ライブ接続の場合
・サイト管理者(サイト管理者 Creator、サイト管理者 Explorer)
※抽出接続とライブ接続については、下記ブログの「Tableau Cloud(旧:Tableau Online)>おすすめポイントと活用例>多様なコネクタと2種類のデータ接続方法が利用可能!」を参照。
【Tableau】初心者向けに徹底解説!〈後編〉:具体的な製品例と使用方法について

7.サインイン後、画面右下にポップアップ画面が表示される。
Tableau Cloudへの接続が完了すると、「Status」が「Connected」になる。

8.「Mode」を「Service」に変更する。
※モードの違い
・アプリケーション モード:データ取得時に、EC2(Windows)にログインしている必要あり。
Tableau Cloudへの接続確認を行う場合や、任意のタイミングでデータ取得を手動で行う場合
は、アプリケーション モードを使用します。
・サービス モード:データ取得時に、EC2(Windows)にログインしている必要なし。
スケジュールを設定して、データ取得を自動で行う場合は、サービス モードを使用します。
※より詳細なモードの違いについては、Bridge クライアントについて を参照。

Tableau Cloudの設定方法
1.Tableau Cloud にサインインする。
※ロール(権限)が、サイト管理者(サイト管理者 Creator、サイト管理者 Explorer)の
ユーザーでログインする必要がある。

2.左側メニューの「設定」を押下し、「Bridge」タブを押下する。

3.「新しいプールを追加」ボタンを押下する。

4.任意のプール名を入力し、「保存」ボタンを押下する。

5.デフォルトのプールに表示されているコンピュータの「編集(鉛筆アイコン)」ボタンを押下する。

6.作成したプールを選択し、「保存」ボタンを押下する。

7.「新しいドメインを追加」ボタンを押下する。

8.下記の情報(※1)を入力し、「保存」ボタンを押下する。
※1 入力内容
ドメイン | 接続するRDSのエンドポイント(※2) |
ドメインのパーミッション | 許可 |
プール | 作成したプール |

※2 AWSコンソールのRDS画面にて、エンドポイントの確認可能。

データソースの作成方法
EC2にインストールしたTableau Desktopを使用し、Tableau Cloudにデータソース(※)を作成します。
※ データソース:データ取得元の接続情報や項目情報を定義したファイル

1.EC2にリモートデスクトップ接続を行う。
※リモートデスクトップ接続方法については、下記ブログを参照。
[AWS] EC2へのリモートデスクトップ手順 (2021年版)
2.リモートデスクトップ接続したEC2上で、Tableau Desktopダウンロードページへアクセスし、
「最新バージョンを見る」ボタンを押下する。

3.「ログインする」ボタンからTableauユーザーでログインする。

4.「ファイルのダウンロード」の下にあるリンクを押下し、
任意のフォルダにTableau Desktopのインストールファイルをダウンロードする。

5.ダウンロード完了後、Tableau Desktopのインストールファイルを実行し、インストールを行う。

6.インストール完了後、Tableau Desktopを起動し、「Tableauの有効化」リンクを押下する。

7.「サーバーにサインインして有効化する」を押下する。

8.サーバーが「Tableau Cloud」になっていることを確認し、「接続」ボタンを押下する。

9.Tableauユーザーでサインインする。
※ロール(権限)が下記のユーザーでログインする必要がある。
・Creator
・サイト管理者(サイト管理者 Creator、サイト管理者 Explorer)

10.ユーザー情報を入力し、「登録」ボタンを押下する。

11.MySQLコネクタのインストールページにて、msiファイルの「Download」ボタンを押下する。

12.「No thanks, just start my download.」リンクを押下する。
※ログイン不要でダウンロードが可能。

13.ダウンロードしたMySQLコネクタのインストーラーを起動し、インストールする。

14.Tableau Desktopを開き、左側メニューから「MySQL」を選択する。
※MySQLドライバのインストールが必要な旨のメッセージが表示される場合は、
Tableau Desktopを再起動する。

15.下記の接続情報(※1)を入力し、「サインイン」ボタンを押下する。
※1 接続情報
サーバー | 接続するRDSのエンドポイント(※2) |
ポート | 3306 |
データベース | MySQLのデータベース名 |
ユーザー名 | MySQLのユーザー名 |
パスワード | 「ユーザー名」に対するパスワード |
SSLが必要 | SSL サーバーに接続する場合は、チェックする |

※2 AWSコンソールのRDS画面にて、エンドポイントの確認可能。

16.データ連携するテーブルをドラッグ&ドロップする。

17.「サーバー」>「データソースのパブリッシュ」>対象のデータソース を押下する。

18.下記を入力し、「パブリッシュ」ボタンを押下する。
※ 入力内容
場所 | Tableau Cloudの保存先プロジェクト |
名前 | データソース名 |
認証 | ・埋め込みパスワード:データ取得時にパスワード不要。 ・ユーザーにメッセージを表示:データ取得時にパスワードが必要。 |
オンプレミスに必要なTableau Bridge | ・抽出の作成と更新のスケジュール:抽出接続 ・ライブデータソースへの接続維持:ライブ接続 ※抽出接続とライブ接続については、下記ブログの「Tableau Cloud(旧:Tableau Online)>おすすめポイントと活用例>多様なコネクタと2種類のデータ接続方法が利用可能!」を参照。 【Tableau】初心者向けに徹底解説!〈後編〉:具体的な製品例と使用方法について |

19.Tableau Cloudにて、指定した場所にデータソースがパブリッシュされていることを確認する。

最後に
「Tableau Bridgeの概要」「システム構成」「設定方法」について解説しました。
設定手順は多いですが一つ一つの設定はシンプルなため、本記事の手順に従っていただければ簡単に接続できます。接続したデータが画面に表示されたときはとても感動しました!
Tableau Bridgeを使用したデータ取得のイメージが沸き、Tableau活用の足がかりになれば幸いです。
今後も、Tableau等の技術ブログを中心に、痒いところに手が届くような記事を投稿したいと思います。
過去の記事も合わせて、ぜひご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございます!
参考
- 【Tableau】初心者向けに徹底解説!〈前編〉:概要、利点、製品カテゴリについて
- 【Tableau】初心者向けに徹底解説!〈後編〉:具体的な製品例と使用方法について
- Tableau Cloud (Bridge の展開計画)
- Tableau: Tableau Bridge をインストールしてプライベート ネットワーク内のデータベース サーバーにアクセスする
- Bridge クライアントのプールの構成
- Creators: Web 上のデータへの接続
- Tableau Desktop と Web 作成のヘルプ MySQL コネクタ
- ライブ接続を使用した Bridge データ ソースのパブリッシュ
- [AWS] EC2へのリモートデスクトップ手順 (2021年版)
投稿者プロフィール

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こんにちは! BS事業部 BSグループの小林です。
AWSやSAP、現在はSalesforceのサービスを利用した開発業務に携わっております。
SalesforceのCRM AnalyticsやTableauなどのBIツールをメインに、
サービスの紹介や、実体験をもとにした活用例などを共有していきたいと思います!