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【SAP Integration Suite】Pipeline Concept入門:そのiFlow、本当に保守しやすいですか?

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はじめに

SAP Integration SuiteでiFlowを作っていると、

  • 気づけば条件分岐だらけ
  • 似たようなiFlowが大量発生
  • 修正の影響範囲が読めない
  • 「誰も触りたがらないiFlow」ができる

という状況、かなり起きやすいと思います。

特に、複数システムとの連携が増えてくると、iFlowの“長期運用”が大きな課題になります。

短期的には動いていても、運用年数が伸びるほど保守性の差が顕著に現れてきます。

「Pipeline Concept」は、そうした保守性の問題に対してかなり実務的なアプローチだと感じました。


要旨

GitHub:
IN161 – Modernize and transform your integration to the cloud

Help Portal:
Pipeline Concept

これは、

– Generic(共通処理)
– Scenario-Specific(個別業務処理)

を分離することで、
iFlowの変更容易性・保守性を高める考え方です。

特に、複数の連携シナリオを長期間運用する環境で効果を発揮しやすい設計アプローチです。

単なる共通化ではなく、
「変更時にどこを直せばよいか分かる状態を作る」
という設計思想が非常に実務的だと感じました。

参考文献:Fully Decoupled Pipeline


① iFlowの保守性に対する問題点

Integration SuiteでiFlowを運用していると、
条件分岐や例外対応、システム個別処理が徐々に増え、
ひとつのiFlowが複雑化しやすくなります。

1インターフェース=1iFlowのように詰め込むと、
修正影響が読みにくくなり、保守負荷が高くなります。

また、似たようなiFlowのコピー対応が増えることで、
共通修正の横展開が難しくなるケースもあります。

結果として、
「どこを直せばよいか分かりにくいiFlow」
になりやすいことが、長期運用上の課題だと感じます。


② iFlowが複雑化する原因

iFlowが複雑化する大きな原因の1つは、
業務ロジックと共通処理が同じiFlow内に混在することだと思います。

例えば、

  • 顧客固有処理
  • システム依存変換
  • Logging
  • Error Handling
  • Retry

などを1つに集約すると、
要件追加や例外対応のたびに条件分岐が増え、
修正影響を追いにくくなります。

開発初期は作りやすい構成でも、
運用フェーズでは「変更しやすさ」が重要になるため、
処理の責務を分離することが保守性向上につながります。


③ 保守性を改善する方策:Pipeline Conceptとは?

これは、

– Generic(共通処理)
– Scenario-Specific(個別業務処理)

を分離して設計する考え方です。

例えば、

Generic側

  • Logging
  • Error Handling
  • Retry
  • 共通Validation

Scenario-Specific側

  • 業務ロジック
  • 顧客固有処理
  • システム依存変換

を配置します。

こうすることで、
共通仕様変更時はGeneric側
業務変更時はScenario-Specific側を中心に修正し、
変更影響を小さくしやすくなります。

結果として、「どこを修正すべきか」が明確になりやすくなります。

個人的には、
これは単なる再利用性向上ではなく、
「変更しやすさ」を高めるための設計思想だと感じました。


ハマりやすいポイント

Pipeline Conceptでは、
何でも共通化しようとすると、
逆に条件分岐が増えて複雑になることがあります。

また、細かく分割しすぎると、
フロー追跡やデバッグが難しくなるケースもあります。

そのため、

「複数シナリオで安定して使うものだけGeneric化する」

くらいの粒度が、
実務上は扱いやすいと感じました。


やってみた

実際に試してみて、最初のステップとして共通化しやすいのは「リラン実行」だと思います。

SAP Integration Suiteでは、ProcessDirectを使うことで、
同一環境内のiFlowを別iFlowから呼び出すことができます。

これを利用すると、
本処理iFlow側では通常運用用のTimer設定を維持したまま、
リラン用iFlow側で呼び出し先を切り替えるだけで再実行を行えるようになります。

つまり、本処理iFlow自体を直接修正せずに、
運用用の再実行経路を分離できる構成になります。

① リラン実行用iFlowの例

リラン実行用iFlowでは、

  1. Start Timerは即時実行で設定
  2. ProcessDirect Senderで再実行したいiFlowを呼び出す

構成にします。

これにより、
運用担当者は必要なタイミングで対象iFlowを再実行できます。

②呼び出される側の本処理iFlow

本処理iFlow側では、

  1. 通常運用用のTimerを維持
  2. ProcessDirect Receiverを追加
  3. Timer起動時・ProcessDirect起動時の両方で同じProcessを呼び出す

構成にします。

こうすることで、
通常実行とリラン実行で処理本体を共通化できるため、
再実行用のロジックを別管理せずに済みます。

「運用用処理」と「本処理」を分離するだけでも、
保守性や運用性がかなり改善されると感じました。


おわりに

Pipeline Conceptは、単なる“iFlow整理術”ではなく、Integration Suiteを長期運用するためのアーキテクチャとしてかなり参考になる考え方でした。

特に、

  • iFlowが増えてきた
  • 保守が辛くなってきた
  • 共通化したい

ような場面では、かなり効果がありそうです。

開発効率だけでなく、将来的な運用コストを下げる観点でも有効だと感じます。

また「再利用性」だけではなく、「変更しやすさ」を意識してiFlowを設計することが非常に重要なのだと改めて感じました。

投稿者プロフィール

Miho D.B.
Miho D.B.
2023年度入社。Java系や内部管理会計開発などを経て、現在ではSAP BTP/Fioriの開発案件に携わっています。
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