はじめに

KYOSOでSAP開発に携わる筆者が、わずか2ヶ月でSAP認定資格(SAP Certification)6科目に全て合格。本記事では、BTP・Fiori・S/4HANA関連の資格を中心に、SAP実務経験1年の文系出身エンジニアがどのように学習し、試験を突破したのかをお届けいたします。
SIerやSAP導入企業でキャリアを積みたい方、KYOSOへのジョインを検討しているエンジニア、教育・育成環境を重視する発注担当者の皆様へ向けた、実践的な体験記です。
SAP Subscriptionで受験できる上限である6回分すべて使って受験し、すべて合格できました。「どうやって勉強するの?」「試験って英語なの?」「緊張しなかったの?」など、初めて受ける人が気になるであろうことを、私の経験ベースでお伝えします。
受験は2024年8月に実施したため、その時点での内容となります。
取得した資格
開発に関する資格、業務に関する資格をそれぞれ3つ取得しました。下記のとおりです。

- SAP Certified Development Associate – SAP Cloud Platform/SAP BTP Extension Developer: C_CPE_16
- SAP Certified Development Associate – SAP Fiori Application Developer: C_FIORD_2404
- SAP Certified Development Associate – SAP Integration Suite: C_CPI_2404
- SAP Certified Associate – SAP S/4HANA Sourcing and Procurement: C_TS452_2021
- SAP Certified Associate – SAP S/4HANA Cloud Private Edition, Sales: C_TS462_2022
- SAP Certified Associate – SAP S/4HANA Cloud Private Edition, Production Planning and Manufacturing: C_TS422_2021
1~3は開発系、4から6は業務系の資格となります。資格試験のレベルはすべてAssociate(初級クラス)です。
勉強期間とスケジュール感
学習期間は約2カ月と、短期集中しました。
実際には、最初のC_CPE_16に約1か月、残り5つの試験に約1か月程度の学習期間を充てました。理由としては、使用した教材の問題数が多かったことや、最初の試験で学習方法に迷いがあったため、このような配分になりました。結果的には、内容もC_CPE_16が一番難しいと感じました。ちなみに、残りの5つの資格を1か月で取得するのは無理があるように見えますが、お盆休みがあった月であり、業務も比較的落ち着いていたため、運よく可能となりました。平日は就業が終われば食事や睡眠以外は大体勉強しており、休日もファミレスで勉強したりと受験生の夏のような生活を送っていました。そのためこの学習期間についてはあまり参考にならないかもしれません。私は無茶な方法をとってしまいましたが、個人的には1つの資格を取得するのに、2週間〜1か月程度の期間を設け、実用的な知識を身につけるのがよいと考えています。
取得時点の筆者のステータス
・SAP経験
SAPに関する経験は約1年です。モダナイゼーションに伴うインターフェースの製造案件において、基本設計から携わっていました。所属する事業部では、BTPによるSide-by-Sideでの機能拡張を中心に行っており、参画したプロジェクトではJavaを使用したプログラミングを担当しました。バックエンド開発がメインだったため、Fioriについては一部関わった程度です。
・プログラミング経験
プログラミング経験は約4年間です。文系大学(心理学部)を卒業後、新卒で入社した会社で約3年間、C#によるWindowsアプリケーションの開発・保守に携わっていました。主に生産管理システムの開発に関わっていたため、業務系システムの知識も多少あります。SAP BTPの開発に関わったのは約1年間で、その中でJavaやGitを初めて使用しました。約1年というあまり長くない期間でしたが、未経験にもかかわらず設計フェイズから参画させてもらえたので仕事の中でも学ぶ機会は多くありました。
・英語力
高校生の時にはなりますが、10か月程度海外留学をしていたことがある為、ある程度の会話は可能です。ただし、緊張しやすい性格のため、英語が得意とまでは言えません。
※ 試験問題は基本的に英語で出題されるため、英語が読める方が有利です。
また、開発系の資格では開発周辺の知識、Salesなどの業務系資格では販売管理などの知識があると、理解がスムーズです。
試験全体のながれ

試験を受けるまでに必要な手順は、上記の図に記載しています。
受験資格であるCertificationの購入方法、PCの設定、試験の予約方法などは、以下の記事に記載されているので参考にしてください。
【SAP】SAP認定試験を受験しよう!SAP認定資格の取得に対するKYOSOの取り組みについて SAP認定試験のCertificationの受験方法について
本記事では③勉強、⑤試験実施について深堀していきます。
学習方法
試験範囲と学習方法
学習には、SAP公式の「SAP Learning」のサイトを使用します。
1.Get Certified > SAP Certification > Browse Certification を選択

2.受験予定の資格を検索・選択

下記が資格試験のページとなります。
試験範囲や試験に関する情報、模擬試験のページまで提供されています。

How to prerareのタブには試験範囲や配点、試験範囲に関連するLearning Journeysのサイトが載っています。

Learning Journeysとは

Learning Journeysとは、SAP公式が提供する学習サイトです。
内容はすべて英語で記載されていますが、ブラウザの翻訳機能を活用すれば日本語でも学習可能です。また、サブスクリプションを購入すれば、ハンズオン課題にも取り組めます。サブスクリプションは、試験の有効期限を延長する際に購入が必要となります。試験の有効期限に関しては記事の後半に記載しています。
受験に関するポイント
試験はオンライン受験(Zoom、英語対応)なのですが、枠が合えば当日でも受験可能です。時間も30分単位で選べるため、柔軟にスケジュールを組むことができます。ただし、試験枠が埋まっている場合は受験できません。また、金曜や土曜(おそらく試験官側の国での休日)は受験できません。そのことを考えて計画を立てましょう。
緊張の試験当日

これが一番の鬼門となる方も多いと思います。なぜなら日本語の通じない試験官と1対1でZoomで話す必要があるからです。私自身も初回はかなり緊張しました。あらかじめ雰囲気がつかめるように、どのような会話が行われたか触れていきたいと思います。
試験前の準備
- スマホの電源を切る
- ドア・窓を閉める(部屋に誰もいない)
- 机の上をきれいにする(机の上のチェックあり)
- 身分証を準備する(顔写真付き×1枚、さらにもう1枚)
試験15分前になると「入室ボタン」が表示されます。
入室後はZoomに接続され、試験官が来るまで待機します。開始時間前に始まることもあれば、遅れることもあります。
入室ボタン押下後は、試験官の準備でき次第Zoomに接続されます。試験官の到着時刻には差があり、開始時刻前に始めることができる場合もあれば、予定時刻より遅れる場合もあるので焦らず待ちましょう。
試験開始までの流れ

挨拶と試験の説明
試験官と軽く挨拶をかわします。そして自分の画面を共有伝えられるので画面共有をします。その後、試験の説明が行われます。試験が初めてかどうか聞かれるので、Yesと答えましょう。試験の詳細を説明してくれます。
PC確認
PCの画面上に余計なアプリが開かれていないかチェックがあります。
タスクバー(画像の赤枠)は基本的に確認されます。場合によってはタスクマネージャーで、余計なアプリが開いていないかを確認されることもあります。
身分書確認
顔写真付きのものを1つ以上含む、個人が特定できるカードを2枚の確認があります。
運転免許やパスポートを持っていたらスムーズです。私の場合両方持っていなかったのでマイナンバーを提示しました。マイナンバーは「Japanese International ID」という説明で通じました。(my number cardは通じなかったです)
免許書で確認されるのは顔写真と名前です。日本語でしか記載のない免許書の場合、「This is Japanese characters」と伝えると伝わります。また試験官によっては、「Expire Date(有効期限)」の確認もあります。
他に、キャッシュカードやクレジットカードを見せる必要があります。
部屋の中、デスク周辺確認
PCをもって部屋を一周するように言われます。窓やドアが閉まっているか、他に人がいないかの確認が行われます。その後、デスク周辺に移り、モニターの裏、デスク下 、左右などの確認があります。机にディスプレイがある場合は電源が切れているかの確認がある為、あらかじめ電源コードを抜いておくとスムーズです。
試験開始
上記すべてに問題がなければ試験に進みます。試験官の説明に合わせて画面を進めていきます。Questionmark Secureの画面になると、画面共有側からは見えないようです。画面に移る内容を読み上げるよう言われます。開始の合図で始めましょう。
*注意点
試験官の指示があるまで勝手に画面を進めてはいけません。一度だけ指示が遅くて勝手に進めてしまい、試験ができなくなったことがあります(ライセンスの数は減りませんでしたが。。)
試験中
試験中に実際あったトラブルなのですが、Outlookのポップアップが表示され、試験画面が急に閉じてしまう事態が発生しました。試験官に報告したところ、対処してくださり問題なく試験は続行されました。合否に響くこともなく無事終了することができました。
試験の問題を解き終えたら「Submit」ボタンを押します。基本的に時間より早く終了します。終了したことを挙手をして合図し、試験官を待ちましょう。反応がなければ、声をかけても問題ありません。
試験終了後
試験終了後、すぐに合否の結果が表示されます。その後、詳細な結果がメールで送られてきます。点数の内訳は6週間しか見れないので、期間中に確認して保存するなどしましょう。

試験に合格後は認定書のダウンロードなどを行いましょう。下記の記事に詳細が記載されています。
【SAP】SAP認定試験を受験しよう!SAP認定資格の取得に対するKYOSOの取り組みについて 試験に合格したら
認定証のトラブル
認定証が文字化けすることがありました。これは、SAPのアカウント情報に日本語の名前が登録されていたことが原因でした。

こちらはCredlyではなくSAPサポートに相談する必要があるそうです。下記サポートに問い合わせたところ解消しました。これはSAPで自分の名前を日本語で登録していたため起きたそうです。日本語で登録されているかは、Manage my AccountのPersonal Infoより確認することができます。
取得した資格試験の有効期限について
2025年から、SAP資格試験は有効期限の設定がされました。有効期限は1年間となります。
更新には、SAP Learning Hubを購入し、アセスメントに合格する必要があります(何度でも挑戦可能)。ただし、資格ごとに受験が必要なため、本数が多い場合は注意が必要です。
SAP Learning Hubは購入することで新規の資格試験を4回受験することができますので、継続して学ぶモチベーションになります。KYOSOでは6回資格試験が受験できるCertification、資格更新の為のLearning HubをBP事業部の社員全員に購入してくれます。また、資格取得者も多く、合格のコツなども社員間で連携しているため資格試験を取りやすい環境です。
【SAP】SAP認定試験を受験しよう!SAP認定資格の取得に対するKYOSOの取り組みについて SAP認定資格に有効期限が設定され、アセスメント合格による期限延長が必要になりました
さいごに
今回は、自身の体験に基づき、SAP資格取得に関する勉強方法や試験の雰囲気について詳しく紹介しました。また、資格を「取得するだけ」で終わらせず、実務に活かせる形で知識を定着させる学習方法にも触れました。資格試験の取得で学んだことを実務でも生かせるようになり、プロジェクトの根幹に携われるよう精進していきたいと思っております。これからSAP試験にチャレンジする方々の参考になれば幸いです。皆さんの学習と成長を心より応援しています。
KYOSOでは、SAP開発を「やらされ仕事」ではなく「自分の成長とキャリア」に繋がるものとして位置付けています。もしこの記事を読んで「自分もやってみたい」と思った方がいれば、ぜひ一緒に働きましょう!
投稿者プロフィール

- 文系大学卒業後、SES企業に就職。常駐先で、C#を用いた生産管理システムの開発や保守を行っていました。現在は株式会社KYOSOに在職し、Javaを用いたSAPのIF開発案件に携わっております。SAP認定試験保有しています。