
はじめに
SAP社のエンタープライズPaaS製品である、SAP Business Technology Platform(SAP BTP) でアプリケーション開発をしている房といいます。株式会社KYOSOに入社してから、SAP BTP開発プロジェクトを経験し、その過程でSAP BTPは様々な種類の、サービスを提供していることに感心しています。一方、他クラウドサービス(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud等)と比較すると、世間的な認知度は未だ低いように感じます。その要因の一つとして、SAP BTPがどのようなサービス群を抱えているか、上手に伝わっていないのでは?と考えました。そこで、類似記事(例:【20XX年】AWS全サービスまとめ)のように、サービスが網羅的に一覧化された記事があれば、多くの人々の目に留まるようになるのではと思い、本記事を執筆させていただくことにしました。
(2025年2月追記)2025年の最新情報については、以下の記事をご確認ください。
【2025年度最新版】SAP Business Technology Platform(SAP BTP)サービスまとめ・一覧
SAP Business Technology Platform(SAP BTP)とは?
SAP Business Technology Platform(SAP BTP)は、SAPのアプリケーションを最大限に活用するためのクラウドベースのプラットフォームです。アプリケーション開発、データ分析、AI、自動化など、ビジネスに必要な機能を網羅しており、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。以前はSAP HANA Cloud Platformとして知られていましたが、進化を遂げ、現在はSAP BTPとして、SAP製品群との連携を強化し、ビジネス全体の最適化を支援しています。Microsoft AzureやAWSなどの主要なクラウドインフラストラクチャ上でも利用可能で、柔軟なシステム構築をサポートします。90を超える豊富な機能を提供しており、今後もビジネスニーズに応じた機能拡張が期待されます。SAP BTPは、単なる技術基盤ではなく、企業の成長を加速させるビジネスプラットフォームとして進化を続けています。
株式会社KYOSOでは、SAP BTPでの最適なシステム構築、導入済みのSAPプロダクト(SAP SuccessFactorsなど)に対するSide-by-Sideでの機能拡張、システム開発のPoCによる初期検証やスモールスタートについて、豊富な実績を有しております。
組織として取り組みについては、以下の記事を参照ください。
【SAP BTP】株式会社KYOSO 組織としての取り組みのご紹介
当社はSAP社主催の各イベントにおいて、数多くの参加・登壇経験も有しております。
【SAP BTP】SAP TechEd Japan 2023でクロージングセッションのパネラーとして登壇!振り返りとKYOSOの取り組み
本記事の諸注意
注意事項①
本記事は、SAP社公式で発表している、SAP BTPのサービス概要を一覧化した記事となります。記事公開の定点としては2024年6月時点となります。
注意事項②
SAP BTPサービスについて、契約プランによって利用可能なサービスが異なりますが、本記事では区別していません。詳しくはSAP社公式ページにて、ご確認ください。
・商用モデル(SAP BTP Enterprise Accounts、Subscription、Trial)
・サービスプラン(Free、Shared、Standard等)
・プロバイダー(AWS、Microsoft Azure 、Google Cloud、Alibaba)
・地域(Japan(Tokyo)、US East(VA)、China(Shanghai)等)
注意事項③
以下で紹介させていただく各SAP BTPサービスには、SAP公式ページのURLも記載しています。各サービスの概要が理解できるよう、簡潔に説明書きをしています。これらはアルファベット順に並べておりますが、直接サービスを確認したい場合は、ページ内検索もしくは目次を利用いただければと思います。
SAP BTPサービスまとめ・一覧(93種類)
ABAP environment
クラウド上でSAP HANAを活用した、最新のABAPアプリケーションを開発できるPaaSです。SAP Fioriアプリや、Webサービスを開発するためのABAP RESTful Application Programming Model (RAP)を提供し、様々なSAP BTPサービスと連携可能です。Eclipseベースの開発ツールやGit統合による効率的な開発、既存のABAP資産をクラウドに移行するためのツールも提供されます。
Advanced Event Mesh
イベント駆動型アーキテクチャ(EDA)のための包括的なプラットフォームです。イベントブローカーサービスのデプロイ、イベントメッシュの作成、EDAの設計・可視化・管理を支援し、システムの最適化と監視を可能にします。監視ダッシュボードと通知機能により、問題を事前に検知し、安定稼働に貢献します。
Agent Activation for Dynatrace Service
Java アプリケーションを Dynatrace SaaS 監視環境に接続できます。このサービスを設定することで、Dynatrace エージェントをすべてのアプリケーションに挿入し、再起動後に監視データ (メトリクス、イベント、エンドツーエンドトレースなど) を収集して、Dynatrace がホストするデータセンターで実行されている監視環境に送信します。
Agentry
SAPバックエンドシステムの機能をモバイルユーザーに拡張します。Agentryサービスは、Agentryモバイルアプリケーションの開発、テスト、運用を可能にします。Agentryサービスを管理および利用するには、開発および運用のためのモバイルサービスが必要です。
Application Autoscaler
アプリケーションの負荷に応じてインスタンス数を自動的に増減させ、リソースの効率的な利用を可能にします。メモリ消費量やCPU使用率などの標準的なメトリクスだけでなく、ユーザーが独自に定義したカスタムメトリクスにも対応しており、アプリケーションの特性に合わせた柔軟なスケーリングが可能です。これにより、必要な時に必要なだけリソースを確保し、コストを最適化することができます。
Application Logging Service
アプリケーションのログをElastic Stackに集約し、可視化・分析を可能にします。異なるランタイムからのログを構造化し、メタデータやメトリクス、カスタム値とともに保存することで、詳細な分析を可能にします。また、WebベースのOpenSearchインターフェースを通じて、ログの表示、検索、分析を簡単に行え、定義済みのダッシュボードやインタラクティブな機能により、必要な情報を素早く特定できます。さらに、JavaやNode.jsアプリケーション向けの専用ロギングライブラリを提供し、最大7日間のログ保持期間により事後分析も可能です。
Audit Log Service
監査目的のためのSAP BTPの中核となるセキュリティおよびコンプライアンスサービスです。SAP BTPアプリケーションおよびサービスに対し、標準機能と拡張機能が利用可能です。拡張機能は、SAP Product StandardsおよびBusiness Industry regulationsへの準拠を可能にし、追加費用が発生するプレミアムプランで利用できます。標準機能では、90日間の監査データ保存 (Audit Log Retention)、Audit Log Viewerでの監査ログ表示、Audit Log Write APIによるSAP BTPサービス・アプリからの監査データ書き込み、Audit Log Retrieval APIによる監査データダウンロードが可能です。拡張機能では、監査データの保存期間を設定できますが、そのためにはBC-CP-CF-SEC-AUDITLGコンポーネントでサポートチケットを作成する必要があります。
Authorization and Trust Management Service
ユーザー認証とIDプロバイダーへの信頼管理を可能にします。IDプロバイダーはアプリケーションのユーザーベースとなり、IAS ID認証テナント、SAPオンプレミスシステム、またはカスタム企業IDプロバイダーの利用が推奨されます。企業またはデフォルトのIDプロバイダーを使用して、外部IDプロバイダーへの認証を処理することで、アプリケーションのユーザー管理を有効化できます。また、ロールに基づいてアプリケーションへのアクセスを制御し、ユーザーに異なる権限を付与することも可能です。
Automation Pilot
主な目的は、SAP BTP 上のクラウドソリューションの運用作業を簡素化することです。データベースとアプリケーションのライフサイクル管理、監視、HTTP リクエスト、Bash スクリプトなど、幅広い自動化された手順にアクセスできます。組み込みコンテンツを利用したり、コマンドと入力をカタログにまとめたカスタムコンテンツを再利用することで、カスタムシナリオをモデル化し実行できます。SAP BTP DevOpsシナリオに関連するすぐに使えるコマンドカタログが付属しており、ローコード/ノーコード機能でカスタムコマンドを作成することも可能です。少量のデータを安全に保存し、コマンド実行間で再利用できます。実行は特定の日時にスケジュールしたり、定期的に繰り返すように設定できます。また、イベントが発生したときに実行をトリガーすることも可能です。
Bandwidth
帯域幅とは、利用者が契約しているホスト型ソリューションまたはサービスから、SAPデータセンターを出てインターネット上を流れるデータトラフィック量(アウトバウンドトラフィック)のことです。
Business Application Studio
インテリジェントエンタープライズ向けのビジネスアプリケーション開発を効率化する、クラウド型の強力な開発環境です。SAP Web IDEの後継として、市場をリードするIDEに匹敵するデスクトップライクな操作性を提供し、ウィザード、テンプレート、グラフィカルエディタなどの高生産性ツールにより開発期間を短縮します。SAP Fiori、SAP S/4HANA拡張、ワークフローなど、様々なビジネスシナリオに対応しており、SAPのマルチクラウド環境で利用可能です。ブラウザからアクセスできるため、ローカルマシンへのソフトウェアインストールは不要です。
Business Entity Recognition
非構造化テキスト内のあらゆる種類のビジネスエンティティを検出し、ハイライト表示するサービスです。例えば、請求書に関する問い合わせメールから自動的にコンテキストを抽出し、請求書のステータスや支払いに関する質問への回答に伴う反復作業を自動化することができます。事前学習済みの機械学習モデルを使用して、定義済みのカテゴリに属するビジネスエンティティを検出・強調したり、独自の機械学習モデルを作成して、任意の種類のビジネスエンティティを検出・強調することも可能です。
Cloud Foundry Runtime
多言語対応のクラウドネイティブアプリケーションを開発し、SAP BTP Cloud Foundry 環境で実行するためのサービスです。SAP Cloud Application Programming Model を利用することで、SAP Java、Node.js、Python などのビルドパック、または PHP、Ruby、Go などのコミュニティビルドパックを用いて、オープンスタンダードに基づいたアプリケーションを構築できます。Cloud Foundry ツールや SAP BTP の Web ベース管理 UI、DevOps 機能を使用して、アプリケーションのライフサイクル管理 (起動、停止、スケーリング、設定) を行えます。また、メッセージング、永続化など、SAP BTP の豊富なサービスを活用して、開発と運用を最適化できます。
Cloud Integration Automation
SAP クラウドソリューションとオンプレミス、他の SAP クラウドソリューションとの統合をガイド付きワークフローで支援します。技術的な設定の一部を自動化し、手作業を削減します。ロールベースの実行により、適切な担当者にタスクを割り当て、パラメータ管理により入力データをワークフロー全体で再利用します。SAP システムに基づいたシステムランドスケープリストが提供され、統合実行の追跡のためにタスクのログが表示されます。
Cloud Integration for Data Services
オンプレミスシステムやクラウドベースのSAPアプリケーションからデータを抽出し、クラウドアプリケーションに最適化された変換と関数を使用してデータを加工し、SAP Integrated Business PlanningなどのクラウドベースのSAPアプリケーションにロードするETLソリューションです。一部のユースケースには、定義済みテンプレートが用意されています。また、クラウドベースのSAPアプリケーションからデータを抽出し、オンプレミスSAPシステムや非SAPシステムにロードすることもできます。
(「Retiring Soon」対象のため、今後なくなります。)
Cloud Logging
SAP Cloud Loggingは、SAP BTPのアプリケーションログ、メトリクス、トレースを保存、可視化、分析するインスタンスベースのオブザーバビリティサービスです。OpenSearchを基盤とし、Cloud FoundryやKymaからのデータ取り込みを容易にする事前定義コンテンツを提供します。主な機能は、SAP BTPワークロードからのオブザーバビリティデータの保存、設定可能な保存期間でのデータ保持、WebベースUIでのデータ閲覧・検索・分析、カスタムダッシュボードの作成、通知設定、SAP Identity Authentication Serviceを使用したアクセス管理です。
当サービスについて、実際に使ってみました。以下の記事もご確認ください。
【SAP BTP】新サービス「SAP Cloud Logging Service」を使ってみた
【SAP BTP】SAP Cloud Logging Service実践編 その1:アプリケーションログ収集の応用
【SAP BTP】SAP Cloud Logging Service実践編 その2:メトリクス監視してみよう
【SAP BTP】SAP Cloud Logging Service実践編 その3:収集したデータを分析・ログを一元管理してみよう
Cloud Management Service
アカウントの管理操作をREST APIで実行できるサービスです。クラウド管理ツール機能セットを持つアカウント向けに提供され、グローバルアカウント、ディレクトリ、サブアカウントに関する運用・保守タスクを自動化するアプリケーションやスクリプトを作成できます。主な機能は、ディレクトリとサブアカウントの管理、製品資格と割り当ての管理、アプリケーションサブスクリプションの管理、アカウント管理イベントの取得、環境インスタンスとテナントのプロビジョニング管理です。
Cloud Portal Service
従業員、顧客、パートナー向けのデジタル体験ポータルを構築できるサービスです。SAP Fiori 3やカスタムデザインで、直感的で魅力的なサイトを作成できます。シングルサインオンで様々なアプリに安全にアクセスでき、SAP製品や他社コンテンツを統合して一元的に利用可能です。管理ツールも充実しており、テーマ、翻訳、テンプレートなどを利用してサイトのライフサイクル全体をサポートします。さらに、ビジネスソリューションにLaunchpadモジュールを追加してパーソナライズや翻訳などの機能を活用したり、SaaSコンテンツプロバイダーとして公開することも可能です。
Cloud Transport Management
Cloud Foundry、ABAP、Neoなどの異なる環境にあるアカウント間でソフトウェア成果物を移送し、管理するためのものです。これには、アプリケーション成果物だけでなく、それぞれのアプリケーション固有のコンテンツも含まれます。主な機能は、変更の伝播をより詳細に制御すること、オンプレミスシステムや追加インフラなしでクラウドベースで移送を処理すること、統合されたエクスペリエンスを提供すること、様々なタイプのコンテンツを移送すること、異なる環境への移送を可能にすること、複雑な移送ランドスケープをモデル化すること、CI/CDアプローチを補完すること、柔軟なインポート処理を提供することです。
Connectivity Service
クラウドアプリケーションと、隔離されたネットワーク内のオンプレミスシステム間の接続を確立します。従来のリバースプロキシに比べて、ファイアウォール設定の変更なしに、より簡単かつ迅速にハイブリッドソリューションをデプロイできます。HTTP、RFC、JDBC、ODBCなどの複数のプロトコルに対応しており、クラウドデータベースへのアクセスや、クラウドユーザーIDのオンプレミスシステムへの伝播も可能です。
Content Agent
SAP Business Technology Platform (SAP BTP) 契約に含まれる Cloud Foundry ベースのサービスです。Cloud Transport Management サービスと統合し、コンテンツを依存関係および関連コンテンツと共にサブアカウント間でエクスポートできます。また、UI で移送アクティビティに必要なコンテンツの詳細と実行されたアクティビティを表示できます。標準化されたユーザーインターフェースを備えており、すべての機能にホーム画面から直接アクセスできます。コンテンツプロバイダーからのコンテンツを MTAR 形式で収集し、設定された移送キュー (CTS+ や SAP Cloud Transport Management など) にダウンロードまたはエクスポートできます。
Continuous Integration & Delivery
CI/CDパイプラインを事前に定義し、自動でコードのビルド、テスト、デプロイを行うことで、開発とデリバリーのサイクルを加速させるサービスです。SAP Cloud Application Programming Model、SAP Fiori、SAP Cloud Integration、コンテナベースのアプリケーションプロジェクトに対応したCI/CDパイプラインを簡単に設定できます。また、Gitリポジトリとの連携や、プライベートリポジトリへの接続に必要な認証情報の作成・保存、ビルドステータスの監視、詳細なログの確認も可能です。
Credential Store
SAP BTP上で実行されるアプリケーションのためのパスワード、キー、キーリングのリポジトリを提供するサービスです。アプリケーションは、外部サービスへの認証や暗号化操作、TLS通信にこれらの認証情報を利用できます。SAP Credential Storeは、REST APIを介してアプリケーションに公開されます。主な機能は、パスワード、暗号化キー、キーリングの保存と取得、サービスインスタンスの作成・バインド・共有、外部アプリケーションからのサービスインスタンス利用のためのサービスキーの作成、SAP Data Custodian Key Management Serviceを使用したデータ暗号化キーの管理です。
Custom Domain
デフォルトのサブドメインの代わりに、独自のカスタムドメインを設定してアプリケーションを公開できます。主な機能は、顧客に分かりやすい独自ドメイン名でのアプリケーション公開、TLS/SSL証明書によるアプリケーションとデータ通信の保護、TLS設定(プロトコルバージョン、暗号スイート、HTTP/2)の追加、SAP BTP拡張ランドスケープでのカスタムドメイン管理、ダッシュボードでのKPI確認(有効期限警告など)、マルチテナントアプリケーションでのCLI/UIインターフェース利用です。
Data Attribute Recommendation
自由記述テキスト、数値、カテゴリを入力として、製品、店舗、ユーザーなどのエンティティを複数のクラスに分類したり、データレコード内の欠落している数値属性の値を予測したりするサービスです。例えば、入力された製品情報を分類したり、商品の説明に基づいて価格を予測したりするために使用できます。このサービスでは、機械学習モデルの学習に使用するデータセットの管理、分類や予測に使用する機械学習モデルの管理、デプロイされた機械学習モデルを使用してデータレコードを分類、欠落している数値属性の値を予測する機能を提供します。また、マルチテナントアプリケーションでこのサービスを使用することも可能です。
Data Privacy Integration
ビジネスアプリケーションのGDPR/DPPコンプライアンスをサポートするためのサービスです。データの保管・処理目的の設定や個人データの関連付けを行う「ビジネスコンテキスト管理」、目的終了後のデータ削除をトリガーする「保持管理」、保存個人データのレポート生成や修正・削除機能を提供する「情報レポート」といった主要なデータプライバシー機能を提供します。
Data Quality Services
住所データの品質向上を支援する、クラウドベースのサービスです。国ごとの基準やユーザーの好みに合わせて住所データを検証・修正・標準化する「住所クレンジング」、住所から緯度経度を取得する「ジオコーディング」、緯度経度から住所を取得する「リバースジオコーディング」機能を提供します。さらに、入力中の住所候補表示による「タイプアヘッド入力候補」機能も備え、迅速かつ正確なデータ入力を実現します。これらの機能は、様々なビジネスプロセスやアプリケーションに組み込むことができ、SAPアプリケーションとの連携も可能です。
Date and Time
アプリケーション開発を簡素化するREST APIを提供します。APIを通じて、特定の国におけるデフォルトの日付フォーマットや、国または地域に該当するタイムゾーンの詳細情報を取得できます。例えば、アメリカの日付フォーマットは「MM/DD/YYYY」として返されます。さらに、2つの異なる日時とタイムゾーン間の時間差も計算できます。これらのAPIを利用することで、日付や時刻に関する情報を手軽に取得し、アプリケーション開発を効率化できます。
Destination
Cloud Foundry環境でアプリケーションを設定するために必要な、バックエンドの宛先情報を取得できます。このサービスを利用することで、アプリケーションは外部システムやサービスへの接続に必要な情報 (URL、認証情報など) を容易に取得し、安全かつ効率的に通信を行うことができます。
Document Information Extraction
ヘッダーやテーブルを含む大量のビジネス文書を処理するのに役立つサービスです。文書ファイルからヘッダーフィールドと明細項目を構造化データとして抽出するDocument APIと、抽出された情報に基づいてビジネス文書をエンリッチメントデータレコードに照合するEnrichment Data APIを提供します。これにより、請求書や支払伝票の自動処理などが可能になります。マルチテナントアプリケーションでの利用もサポートしており、複数のユーザーが共有コンピューティングユニット上で実行できます。
Document Management Service, Application Option
企業コンテンツの文書管理機能を提供する、スタンドアロンのWebアプリケーションです。SAPストレージまたはCMIS準拠のリポジトリに接続して、ビジネス文書や添付ファイルを安全に保管・管理できます。ファイルやフォルダの作成・編集・ダウンロード・削除、パンくずリストによる階層ナビゲーション、画像・PDF・ベクターグラフィックのビューア表示などが可能です。また、文書階層の再構築、メタデータの管理、文書リストのカスタマイズ、バージョン管理、ワークフロー管理、暗号化によるデータ保護などの機能も備えています。
Document Management Service, Integration Option
ビジネスアプリケーションに文書管理機能を組み込むためのサービスです。統合コンポーネントまたは再利用可能なUIコンポーネントを使用することで、オンプレミスまたはクラウドアプリケーション上にカスタマイズされた文書管理レイヤーを構築できます。SAPストレージまたはCMIS準拠のリポジトリに接続し、ファイルとフォルダの階層管理、バージョン管理、ステータス管理などの文書管理機能を活用できます。また、使いやすいUI5ベースのコンポーネントをアプリケーションに組み込み、文書管理シナリオを実現することも可能です。
Event Mesh
イベント駆動型のビジネスプロセスを実現し、ビジネスエコシステム全体の俊敏性と拡張性を向上させます。SAPおよび非SAPソースからのビジネスイベントを、ハイブリッド環境全体にわたって公開・利用できます。SAP Extension Suite、SAP Integration Suite、受信対応SAPバックエンドなど、SAPのイベント駆動型エコシステム全体でイベントを活用できます。これにより、拡張アプリケーションや統合シナリオにおいて、分離された通信による信頼性の高いデータ伝送を実現し、より柔軟で効率的なビジネスプロセス構築を可能にします。
Feature Flags service
アプリケーションの再デプロイや再起動なしに、実行時に新機能を有効化/無効化できるサービスです。ブール型フラグで機能のオン/オフを切り替えたり、文字列型フラグで複数のバリエーションを選択したりできます。特定の値を持つユーザーにのみ機能を有効化するダイレクトデリバリーや、テナント間でバリエーションを分散させるパーセンテージデリバリーも可能です。さらに、フラグのエクスポート/インポート機能やマルチテナント対応も備えています。
Forms Service by Adobe
Adobe Document Services (ADS)を利用して、印刷用およびインタラクティブなPDFフォームを作成・処理できるサービスです。クラウドアプリケーションからはREST APIを介してフォームのレンダリングやテンプレート管理が可能で、SAP S/4HANAオンプレミスまたはSAP BTP ABAP環境上のABAPアプリケーションとも連携できます。 ローカルJavaインストールが不要なため、IT環境を簡素化し、ハードウェアリソースのコスト削減にもつながります。また、フォームテンプレートとスキーマをサービス内に保存できるため、レンダリング呼び出し時に簡単に参照できます。
HTML5 Application Repository Service
SAP BTP 上での HTML5 アプリケーションの一元的な保管を可能にします。アプリケーション開発者は、HTML5 アプリケーションのライフサイクルを管理できます。実行時には、通常はアプリケーションルーターである利用アプリケーションが、HTML5 アプリケーションの静的コンテンツに安全かつ効率的にアクセスできるようにします。HTML5 アプリケーションは、利用アプリケーションルーターから分離されているため、SAP BTP のアプリケーションルーターを再起動することなく、HTML5 アプリケーションの静的コンテンツを更新できます。また、バージョン管理、アクセス制御、キャッシュ、最適化により、高パフォーマンスと最小限のネットワーク負荷を提供します。
IBAN service
入力されたIBAN(国際銀行口座番号)が有効かどうかを確認するためのAPIを提供します。IBANは、国際送金やヨーロッパ圏内での取引で使用される、標準化された口座番号形式です。このサービスを利用することで、アプリケーションやシステムに入力されたIBANの有効性を簡単に検証できます。これにより、誤ったIBANによる取引エラーや遅延を防ぎ、スムーズな国際取引を促進することができます。
Identity Authentication
ビジネスプロセス、アプリケーション、データへの制御されたクラウドベースのアクセスを提供します。フォーム認証、SPNEGO、ソーシャル認証、二要素認証などの認証方法を選択してアプリケーションへのアクセスを制御したり、SAML 2.0 を使用してシングルサインオンを提供したりできます。また、API 認証を使用してプログラムでアプリケーションを統合することも可能です。IP範囲、ユーザーグループ、ユーザータイプ、認証方法に基づいて二要素認証を強制することで、ビジネスアプリケーションへのアクセスを管理できます。さらに、サードパーティまたはオンプレミスの IdP に認証を委任し、オンプレミスとクラウド間で SSO を有効にすることもできます。SCIM REST API を使用して、ユーザーとグループの管理、ユーザーの招待、エンドユーザー UI テキストのカスタマイズを任意の言語で行うことも可能です。
Identity Provisioning
SAPシステムと非SAPシステムを含む複数のクラウドおよびオンプレミスシステム間で、ユーザーとグループのアイデンティティと権限のプロビジョニングを自動化するサービスです。プロビジョニングするデータとしないデータを制御するフィルタリング機能や、変更データのみを読み取るデルタ読み取りモードなどを備えています。また、ジョブのログは管理コンソールから確認・エクスポートでき、ジョブのステータスに関する通知を受け取ることも可能です。
Integration Suite
企業のアプリケーション、データ、プロセスをシームレスに連携・統合するためのエンタープライズグレードの統合プラットフォームサービスです。事前に構築されたベストプラクティスの統合パックが用意されており、開発者は迅速に価値を実現できます。統合コンテンツは、Business Technology Platform上またはプライベートランドスケープ内で実行可能です。主な機能は、エンドツーエンドのプロセス統合シナリオの構築、API管理、Open ConnectorsによるSAP以外のクラウドアプリケーションとの連携、機械学習を活用したインタフェース設計、B2Bシナリオの設計・運用、ハイブリッド統合の実行などです。
Intelligent intercompany reconciliation
機械学習を活用して過去のインターカンパニーデータから学習し、どの伝票をグループ化するべきかを推測します。この予測結果は、SAP S/4HANAまたはSAP S/4HANA CloudのIntercompany Matching and Reconciliation (ICMR)に送信され、さらなる処理が行われます。これにより、インターカンパニードキュメントのマッチングと調整プロセスが加速され、効率化が実現します。ユーザーは、SAP S/4HANAまたはSAP S/4HANA CloudのManage Assignmentsアプリで、マッチングされたインターカンパニードキュメントのグループを確認できます。
(「Retiring Soon」対象のため、今後なくなります。)
Intelligent Situation Automation
SAP S/4HANAのSituation Handlingを拡張し、ビジネスルールを用いて状況を自動的に処理・解決するサービスです。これにより、ユーザーは手作業による繰り返しタスクの時間を削減できます。本サービスでは、自動化設定の作成・編集・削除、状況ダッシュボードでの自動解決による時間節約効果の確認、発生した状況インスタンスの分析、関連状況の探索が可能です。状況ダッシュボードでは、ビジネス状況の自動化に関する洞察や提案も得られます。状況分析では、状況タイプ別の発生数を確認したり、特定の状況タイプに絞り込んで解決フローやデータコンテキストなどの詳細を把握したりできます。
Job Scheduling Service
一度だけ、または定期的に実行するジョブを定義・管理できます。このサービスはランタイムに依存せず、アプリケーションのアクションエンドポイントや Cloud Foundry タスクを使用した長時間実行プロセスをスケジュールできます。REST API を使用して、長時間実行ジョブを非同期に含むジョブをスケジュールし、シンプルまたは複雑な繰り返しスケジュールを作成できます。ジョブとタスク、およびスケジュールは Web ベースの UI で管理します。柔軟なスケジュール形式 (cron 形式と人間が読める日付形式)、OAuth 2.0 による保護された通信を使用した安全なアクセス、同期/非同期のジョブ定義と管理、長時間実行 Cloud Foundry タスクの非同期実行、REST API によるジョブとスケジュールの CRUD 操作と実行ログの取得、Web UI によるジョブとタスク、スケジュールの作成・管理・監視、Node.js クライアントライブラリによる CRUD 操作、マルチテナントサポートなどの機能があります。
Keystore Service
暗号鍵と証明書の保管庫です。アプリケーションから簡単にキーストアを取得し、デジタル署名の署名と検証、メッセージの暗号化と復号化、SSL通信の実行など、様々な暗号化操作に使用できます。Java EEにおけるクライアント証明書認証を有効にしたり、SAP JVMにJava Cryptography Extension (JCE) Unlimited Strength Jurisdiction Policyファイルをインストールすることで、無制限強度の暗号化を使用することも可能です。
Kyma runtime
オープンソースプロジェクト “Kyma” に基づく、フルマネージドな Kubernetes ランタイムです。このクラウドネイティブソリューションにより、開発者はサーバーレス関数で SAP ソリューションを拡張し、コンテナ化されたマイクロサービスと組み合わせることができます。 Kubernetes ベースの機能を活用して、クラウドネイティブなマイクロサービスとサーバーレス関数で SAP ソリューションを拡張できます。また、API およびイベントベースの拡張機能を構築し、オンデマンドでトリガーできます。イベント処理と配信もスムーズに行えます。さらに、フルマネージドなサービスメッシュと接続機能を活用できるため、運用負荷を軽減できます。従量課金制のため、ビジネスニーズに合わせてランタイムを拡張できます。
Market Rates, Bring Your Own Rates
サードパーティのデータプロバイダーからライセンスを取得した、独自の市場レートデータをアップロード・ダウンロードできるサービスです。SAP S/4HANAシステムと互換性のある形式でデータをアップロードし、ダウンロードしたレートを接続されたすべてのシステムに配信できます。12種類の市場データタイプをサポートしており、単一のAPIでアップロード・ダウンロード可能です。また、Manage Market Ratesアプリケーションを使用して、市場データの読み取り、クエリ、削除を行うことができ、アップロード、ダウンロード、削除操作に関するビジネスログにもアクセスできます。
Market Rates, Refinitiv
Refinitivが提供する市場レートデータを、SAP S/4HANAシステムで活用できるサービスです。クレジットスプレッド、ベーシススプレッド、ボラティリティなど、最大10種類の市場レートを一度にダウンロードできます。また、「Bring Your Own Rates」機能により、独自の市場レートデータのアップロード・ダウンロードも可能です。取得したデータは、SAP S/4HANAオンプレミスまたはクラウドシステムに連携し、日次レート、指定期間の履歴レート、月末平均レートなどをインポートできます。これにより、市場データの取得・管理業務を効率化し、より精度の高い分析や意思決定を支援します。
Malware Scanning Service
Cloud Foundry 上で実行されるカスタム開発アプリと統合し、ビジネス文書をマルウェアのスキャンに使用できます。アプリがビジネス文書をアップロードする際に、このサービスを呼び出してウイルスやその他のマルウェアをチェックできます。これにより、アプリケーションやストレージ内のマルウェアを削減し、ビジネス文書のアップロード・ダウンロード時にマルウェアを自動スキャンすることで、コンプライアンス要件を満たすのに役立ちます。
Master Data Governance, cloud edition
ビジネスパートナーの中核属性を管理し、その品質を評価することで、高品質なマスターデータの維持を支援します。主な機能は、ワークフロー駆動のプロセスでビジネスパートナーの作成・管理を行う「Central Governance」、分析や運用に役立つ単一ビューを作成する「Consolidate Master Data」、ビジネスパートナーマスターデータの品質定義・実施・監視・改善を行う「Data Quality Management」です。これにより、データの重複検出や統合、外部データプロバイダーからの参照データ利用などが可能です。
Master Data Integration
ハイブリッド環境全体で一貫したマスターデータビューを提供する、マルチテナントクラウドサービスです。複数のシステムによる同一データの編集、機密データへの読み取りアクセスの監視とログ記録、ビジネス要件に対応するための拡張性、SOAPインターフェースとODM準拠RESTインターフェースによるビジネスパートナマスターデータレプリケーション、SAP One Domain Modelにおけるエンティティタイプの互換バージョン間のデータ共有などをサポートします。これにより、データ保護とプライバシーを確保しながら、マスターデータの一元管理と効率的な連携を実現します。
Mobile Services
企業データへのモバイルアクセスを提供するモバイルアプリケーションの開発、設定、管理を可能にするサービスです。ネイティブアプリ、クロスプラットフォームアプリ、Web アプリ、Mobile Development Kit クライアントなど、複数のアプリタイプに対応しており、アプリのライフサイクル全体を通して定義、管理、監視できます。主な機能として、最適化されたダウンロードによるアプリとアプリ設定の更新、複数のアプリバージョンの管理、OData 同期機能とオープンスタンダードによるオフライン時のローカルデータソースへの切り替え、セキュリティ認証、バックエンドデータソースからモバイルアプリへの更新と通知、GDPR 準拠のアプリ使用状況分析・統計・レポート、既存のオンプレミスソリューションの拡張、または HANA をバックエンドとする完全クラウドホストソリューションの構築などが挙げられます。
Monitoring Service
アプリケーションの監視データへのアクセスと、サブスクライブしたイベントの通知を提供します。カスタムメトリクス、しきい値、アラートを設定し、SAP BTPコックピット、コンソールクライアント、またはREST APIを使用して監視データを管理できます。Javaアプリやそのプロセス、HANA XSアプリ、HTML5アプリ、データベースシステムのメトリクスを取得・表示したり、可用性チェックやカスタムチェックを設定したりできます。また、JMX MBeanの操作やアラート設定(メール、Webhook)も可能です。
OAuth 2.0
ウェブ、モバイル、IoTなどの幅広いアプリケーションシナリオに対応した、OAuth 2.0プロトコルに基づく認証・認可を設定できるサービスです。OAuth 2.0プロトコルの認可コードグラントフローを実装しており、柔軟なアクセス許可と簡単な許可取り消しを可能にします。また、サードパーティの場所にクレデンシャルを保存する必要がないため、Webアプリケーションに適しています。さらに、クライアントクレデンシャルグラントフローも実装しており、ユーザーの操作なしにクライアントクレデンシャルのみに基づいてアクセストークンを付与できます。API保護やIoTシナリオに適しています。
Object Store
Azure Blob Storage、Amazon Web Services、Google Cloud PlatformなどのIaaS層に特化した、オブジェクトの保存と管理(作成、アップロード、ダウンロード、削除)を可能にするサービスです。オブジェクトストア(AWS S3バケット、Azure Blobコンテナ、Google Cloud Storageバケット)を作成し、アプリケーションに安全な認証情報を渡してバケットにアクセスできるようにします。高可用性と高耐久性を備え、Cloud FoundryとKymaアプリケーションがオブジェクトを保存・管理するためのスケーラブルなストレージを提供します。
Personal Data Manager
アプリケーションやサービスが保存・使用している個人データを特定し、データ主体に通知する機能を提供します。詳細な検索機能で特定の個人顧客や法人顧客を検索し、どの個人データが使用されているかを通知したり、個人データ記録を電子メールで送信したりできます。また、データ主体に代わって個人データに関するリクエストを作成・送信し、評価・処理することも可能です。これにより、GDPRなどのデータ保護規制への準拠を支援し、透明性の高い個人データ管理を実現します。
Personalized Recommendation
閲覧履歴やアイテム情報に基づいて、Webサイト訪問者に高度にパーソナライズされたおすすめを提供する汎用的なサービスです。最新の機械学習技術を活用し、ユーザーのコンテキストや過去のインタラクション履歴に応じて、次に選択される可能性の高いアイテムや、現在閲覧中のアイテムに類似したアイテム、パーソナライズされた検索結果、ユーザーの興味や好みに合ったアイテム属性などをレコメンドできます。 これらの機能により、幅広いビジネスシナリオに対応し、ユーザー体験の向上に貢献します。
PostgreSQL, Hyperscaler Option
AWS、Azure、GCP、AlicloudといったクラウドプロバイダーのネイティブなPostgreSQLサービスをベースとした、マネージドリレーショナルデータベースサービスです。このサービスを利用することで、SAP BTPからハイパースケーラー上のPostgreSQLデータベースのプロビジョニングと管理を行い、Cloud Foundry環境で実行されるビジネスアプリケーションに安全に接続できます。自動バックアップによる復元、マルチAZによる高可用性と耐障害性、柔軟なスケーリング、PostgreSQL拡張機能のサポートなどの機能を提供します。
Print Service
SAP BTP や SAP Intelligent Enterprise Suite のビジネスアプリケーションで使用され、開発チームがアプリケーションと顧客のローカルプリンターを簡単に接続できるようにします。これにより、開発作業を大幅に削減できます。主な機能として、印刷キューの作成・変更・一時停止・再起動・削除、印刷キューのクエリや印刷キュー項目の作成のための公開 API、個々の印刷キュー項目の停止・再起動・別のキューへの再割り当てなどが可能です。
Private Link Service
SAP BTPの特定サービスと、利用者のIaaSプロバイダーアカウント内の特定サービス間のプライベート接続を確立します。パートナーIaaSプロバイダーのプライベートリンク機能を活用することで、パブリックインターネットを経由せず、プライベートネットワーク経由でサービスにアクセスできます。これにより、アカウントを跨いだ特定サービスインスタンスへの接続時に、プライベートサービスエンドポイントへのアクセスを可能にし、パブリックエンドポイントの使用を回避します。また、プライベートネットワーク上でデータを転送することで、パブリックインターネット経由のデータ転送を回避できます。
Redis, Hyperscaler Option
AWSやAzureなどのハイパースケーラーが提供するネイティブなRedisサービスを基盤とした、マネージドインメモリデータストアサービスです。SAP BTPからハイパースケーラー上のRedisキャッシュインスタンスをプロビジョニング・管理し、Cloud Foundry環境で実行されるビジネスアプリケーションに安全に接続できます。プライベートで低レイテンシなアクセスを実現するセキュアなネットワーク設定、複数ノードによる高可用性と耐障害性、コンピューティングキャパシティやストレージ要件に応じた柔軟なスケーリングといった特長があります。
Responsibility Management Service
ビジネスプロセスやオブジェクトの責任者となるエージェントを決定し、自動的に通知する機能を提供します。ワークフローなどのフレームワーク内でビジネスルール、チーム、メンバー、機能を定義・使用することで、様々なコンテキストにおける責任を定義・管理し、タスクやアクティビティに対応できる責任者を取得できます。例えば、エンドユーザーは、期限の通知や遅延の警告を受け取ることができます。責任ルールは条件ベースで定義したり、外部システムのAPIをマッピングして決定したりできます。また、チームとその構成を定義し、チームメンバーに機能を割り当てたり削除したりすることも可能です。
SaaS Provisioning Service
マルチテナントアプリケーションとその依存サービスのサブスクリプションを管理できます。アプリケーションの登録情報の取得、アプリケーションへのテナントの登録・登録解除、アプリケーションのサブスクリプション情報と依存関係の取得、依存関係の更新が可能です。テナントの登録・登録解除は、プロバイダーと同じグローバルアカウント内のテナントに対して行えます。また、テナントの登録・登録解除・依存関係更新のAPI呼び出し後に作成されるジョブに関する情報も取得できます。
SAP AI Core
AI資産の実行と運用を標準化、スケーラブル、かつハイパースケーラーに依存しない方法で処理できるように設計されたSAP Business Technology Platformのサービスです。SAPソリューションとのシームレスな統合を提供し、オープンソースフレームワークを使用してあらゆるAI機能を簡単に実現できます。AIシナリオのライフサイクル管理をサポートし、バッチジョブとしてのパイプライン実行、推論リクエストへの対応、機械学習モデルのWebサービスとしてのデプロイなどが可能です。また、マルチテナントアプリケーションに対応し、DockerレジストリやGitリポジトリとの連携、オブジェクトストアの登録なども可能です。生成AIハブでは、プロンプトの実験やライフサイクル管理のための生成AIモデルを選択できます。
SAP AI Launchpad
SAP Business Technology Platform上のマルチテナントSaaSアプリケーションであり、顧客やパートナーが複数のAIランタイム(SAP AI Coreなど)にわたるAIユースケースを管理するために使用できます。主な機能として、複数のAIランタイムインスタンスへの接続と切り替え、SAP AI CoreのリソースグループへのアクセスとAI資産の管理、Gen AIプロンプトのライフサイクル管理、AIユースケースのライフサイクル管理、AIユースケースの統計情報へのアクセス、SAP AI Coreの管理タスク(AIワークフローで必要な認証など)があります。これにより、AIユースケースの開発、デプロイ、監視、管理を効率的に行うことができます。
SAP Alert Notification service
プロバイダーがアラートを発行し、コンシューマーがアラートを購読するための共通APIを提供します。ビジネスや運用に関心のあるイベントに関するリアルタイム通知とアラートを、自動的に送信するように設計されています。SAP BTPリソースの正常な機能に関する重要な技術情報を、Built-In Eventsで確認できます。また、関心のあるイベントを選択して購読し、好みの通信チャネルまたは監視ツールで受信できます。シンプルなREST API、またはJavaベースのアプリケーションの場合はオープンソースのJavaおよびNode.jsライブラリを使用して、独自のアプリケーションに関連するイベントを作成および受信できます。さらに、このサービスはマルチテナントアプリケーションでも利用可能です。
SAP Analytics Cloud
分析と計画を組み合わせた、SaaS型のオープンなクラウドソリューションです。チャートや画像を用いたプレゼンテーション形式のドキュメントを作成し、インタラクティブなダッシュボードとして活用できます。 SAPソリューションとの連携や事前定義コンテンツにより、計画の調和を図り、価値創出までの時間を短縮できます。SAPデータへのライブ接続や任意のソースからのデータインポートが可能で、インポートしたデータのモデル化や分析・計画のための定義も可能です。拡張分析によるシナリオシミュレーションや、機械学習によるデータパターンの発見、将来値予測などのスマート機能も利用できます。iOS/Androidデバイス向けのモバイルアプリも提供されており、いつでもどこでも分析にアクセスできます。SAP Datasphereを追加することで、重要なビジネスデータへのシームレスかつスケーラブルなアクセスが可能になり、SAP Analytics Cloudソリューションをさらに強化できます。
SAP Analytics Cloud, embedded edition
SAP BTP上のビジネスアプリケーションに、分析機能を組み込むためのサービスです。セルフサービスでプロビジョニングでき、SAP HANAデータベースとのライブ接続により、リアルタイム分析を可能にします。ユーザーは、事前に定義されたレポートやパーソナライズされたデータアクセス、アドホック分析機能を通じて、データに基づいた意思決定を行うことができます。これらの機能は、ビジネスアプリケーションにシームレスに組み込まれ、統一されたユーザーエクスペリエンスを提供します。また、SAP HANAの高度なインメモリ技術を活用することで、リアルタイムなインテリジェンスと分析機能を備えたビジネスアプリケーションを構築できます。
SAP ASE Service
SAP BTPまたはオンプレミスで実行されているアプリケーションから、Java APIを介してSAP ASEデータベースを利用できるようにします。データベースの作成や更新などのセルフサービスを提供し、インフラとデータベースプラットフォームの運用はSAPが担当します。SAP ASEデータベースシステムのインストール、更新、削除や、テナントデータベースでのデータ保存が可能です。また、SQLやJava(JPA、JDBC)を使用してSAP ASEテナントデータベースにアクセスし、ローカルマシンからリモートデータベースに接続することもできます。さらに、SAP BTP上で実行されているJavaアプリケーションをSAP ASEテナントデータベースにバインドすることも可能です。
SAP Build Apps
Web およびネイティブモバイルアプリを、ノーコードで作成できるプラットフォームです。ドラッグ&ドロップで直感的にUIを構築し、ロジックフローやデータ変換の機能も利用できます。また、組み込みのクラウド機能を使用して、ノーコードでバックエンドを作成し、スタンドアロンまたは既存の SAP データモデルと連携したソリューションを構築できます。さらに、ワンクリックでノーコードバックエンドとアプリを接続し、SAP BTP 認証と宛先を使用して、最新の API やクラウド/SAP システムのデータを簡単に統合できます。
SAP Build Code
SAP BTPのCloud Foundry上で動作するSAPUI5、SAP Fiori、モバイル、CAPアプリケーションの開発を簡素化する開発環境です。コーディング、テスト、統合、アプリケーション管理に必要なツールをワンストップで提供し、SAP Jouleの生成AI機能を活用して、SAP中心のプログラミングガイドラインに沿ったデータモデル、サービス、ビジネスロジックを生成できます。SAP Cloud Application Programming Modelに基づいたフルスタックアプリケーションや、SAP Fiori elements、SAPUI5に基づいたフロントエンドアプリケーション、SAP Mobile Development Kitを使用したモバイルアプリケーションの開発が可能です。また、SAP BTP開発者ガイドに基づいたガイデッド開発も提供されます。
SAP Build Process Automation
SAP Workflow ManagementとSAP Intelligent RPAの機能を組み合わせ、直感的なノーコード開発環境で業務自動化を促進するソリューションです。ドラッグ&ドロップでインタラクティブなフォームを作成し、データソースと連携させることができます。また、グラフィカルなインターフェースでエンドツーエンドのプロセスを構築・適応し、組織全体の効率を最大化できます。さらに、RPAで繰り返しタスクを自動化したり、意思決定ロジックをテーブル形式で管理したりすることも可能です。プロセス可視化ダッシュボードにより、エンドツーエンドのプロセスとプロセスインスタンスをリアルタイムで監視できます。これらの機能により、ビジネスユーザーや技術者が「市民開発者」となり、専門知識を活用して自動化を推進できます。
SAP Build Work Zone, advanced edition
ユーザーの生産性とエンゲージメントを高める、デジタルワークプレイスソリューションを構築するためのサービスです。関連性の高いビジネスアプリケーション、プロセス、情報、コミュニケーションを統合し、統一されたエントリーポイントからあらゆるデバイスでアクセスできます。主な機能は、最小限のコーディングで動的でモダンなユーザー体験を作成すること、SAPおよびサードパーティ製ビジネスアプリケーションのコンテンツへのアクセスを統合すること、チャットボットやワークフローなどの拡張機能を追加すること、チームや同僚との情報共有やインタラクションを促進すること、マルチテナントサポート、ロールベースのコンテンツアクセス、いつでもどこでも情報にアクセスできること、オンプレミスおよびクラウドアプリの統合です。
SAP Build Work Zone, standard edition
SAP、カスタムビルド、サードパーティ製のクラウド/オンプレミスアプリケーションへの統合的なアクセスを提供し、ビジネスユーザーの利便性を向上させるサービスです。ロールベースでパーソナライズされたビジネスサイトを構築し、コンテンツ構造やデザインを柔軟にカスタマイズできます。SAP BTPの主要サービスとの統合が可能で、シェルプラグインやカスタムブランディングによる拡張性も備えています。直感的で魅力的なユーザー体験を提供し、業務効率の向上に貢献します。
SAP Cloud ALM, memory extension
エンタープライズサポートの標準機能を超える、特殊なユースケースに対応するための拡張機能です。追加データのアップロード、実行保持時間の延長、プロセス管理アセットやテナントの追加など、データの保存と拡張を柔軟に行うことができます。SAP HANAデータベースに4GBのメモリを追加することで、SAP Cloud ALMのユースケースにおいて、より大規模なデータ処理や分析が可能になります。また、SAP BTPの開発環境を活用して、独自のダッシュボードや機能拡張などを行うことも可能です。
SAP Data Intelligence
分散データ環境全体にわたるデータのオーケストレーション、改善、強化、インテリジェンス適用を可能にするシステムです。構造化、非構造化、ストリーミングなど様々なデータタイプを管理し、機械学習や高度な分析モデルのトレーニングやサービスに利用できます。データパイプラインやデータオーケストレーション機能により、データ駆動型アプリケーションをグラフィカルに構築し、効率的なデータ処理を実現します。また、SAP独自の処理エンジンや一般的なオープンソースエンジンと接続・再利用することも可能です。さらに、多様なシステムにネイティブかつリモートで接続し、データアクセス、統合、複製をサポートします。システムレベルの設定やユーザーアクセス管理、接続されたデータ環境におけるデータ操作の表示、制御、監査も可能です。
(「Retiring Soon」対象のため、今後なくなります。)
SAP Data Retention Manager
SAP BTP上で構築されたアプリケーションの個人データと関連するトランザクションデータを管理し、保持と破棄を制御します。データモデルに依存せず、保持期間や居住期間を定義することで、不要なデータの保持を防ぎます。ビジネス目的ルールを作成し、関連する法的な根拠に基づいて保持期間と居住期間を定義できます。また、データ主体の情報について、保持期間の終了を確認し、ブロックまたは削除のリクエストをトリガーできます。さらに、アプリケーションごとに保持ルールと居住ルールを作成し、データのブロックまたは削除時期を定義できます。データ主体に関連するかどうかに関わらず、法的な根拠またはトランザクションをアーカイブまたは破棄することも可能です。選択基準により、対象となるアプリケーションとトランザクションの範囲を指定できます。
SAP Datasphere
組織全体のミッションクリティカルなデータを統合し、ビジネス専門家が最適な意思決定を行えるようにするビジネスデータファブリックアーキテクチャを実現します。データ統合、カタログ化、セマンティックモデリング、データウェアハウジング、SAPおよび非SAPデータ全体のワークロードの仮想化といった機能を統合したサービスを提供します。主な機能は、グラフィカルなローコード/ノーコードツールやSQLエディタを使用したデータモデリング、ビジネスモデリング、SAP/非SAPのクラウド/オンプレミスソースへの接続、セキュアなモデリング環境を提供するスペース管理、テナントの設定・管理、データ保護とプライバシー、データガバナンス、SAP Analytics CloudやExcelとの連携などです。
SAP Event Broker
SAPのイベント駆動型アーキテクチャ戦略を支えるサービスです。SAPクラウドアプリケーション間でのビジネスイベント交換を、定義明確で消費・拡張しやすいエコシステムで実現します。主な機能として、SAP BTPコックピットのランドスケープ管理で定義された顧客テナントデータの分離、SAP Cloud ALMへの登録によるイベント処理エラーの監視、SAP Event Brokerアプリケーションによるイベント配信制御などが挙げられます。これにより、イベントストレージや基盤インフラの設定が不要になり、SAPクラウドアプリケーションとBTPベースアプリケーション間のシームレスな統合が可能になります。
SAP HANA Cloud
ミッションクリティカルなアプリケーションとリアルタイム分析を、ペタバイト規模で実現するデータベースサービスです。リレーショナル、グラフ、空間、ドキュメントストアを統合し、組み込みの機械学習機能でスマートなアプリケーションを開発できます。実証済みのインメモリ速度でミッションクリティカルなデータを処理し、統合されたマルチティアストレージで効率的に管理できます。オンプレミスやクラウドのデータソースに直接アクセスし、多様なストレージ環境を統合してハイブリッド環境を構築できます。また、使用頻度の低いデータには低コストのストレージオプションを活用し、データマスキングや匿名化などのデータプライバシー機能で機密データを保護できます。
SAP HANA Service (SAP Regions)
クラウド上でSAP HANAのインメモリデータベースを利用できるサービスです。自動バックアップや高可用性を備え、SAP BTP上のアプリケーションと連携できます。Standard Editionでは、データベースシステムの管理、アプリケーション開発、多様な言語・インターフェースでのデータベースアクセス、時系列データ処理などが可能です。Enterprise Editionでは、さらに地理空間データやグラフデータの処理、データベース内検索、高度な分析アルゴリズムの実行も可能です。用途に合わせて固定サイズのデータベースシステムを選択でき、SAP HANA 2.0の最新リビジョンにも対応しています。
SAP HANA spatial services
ジオコーディング、マッピング、ルーティングなどの地理参照データを処理し、アプリケーションに位置情報を追加するためのクラウドベースのサービスです。住所を緯度経度に変換するジオコーディングAPI、地図タイルを提供するマッピングAPI、複数の経由地を含むルートを計算するルーティングAPI、多数の出発地と目的地間のルートを計算するマトリックスルーティングAPIを提供します。これらのAPIを通じて得られた地理空間情報をビジネスデータと組み合わせることで、業務プロセスに「場所」という次元を追加できます。
SAP Health Data Services for FHIR
医療関連データに基づくアプリケーションやサービスの設計、実装、運用を支援するクラウドネイティブな HL7® FHIR® 標準の実装です。ビジネスやローカライズのニーズに合わせてリソースのプロファイルと保存が可能で、REST API やメッセージングエンドポイントを使用して医療データを管理できます。また、カスタムリソース、FHIR 拡張、ビジネスルールによる拡張性を提供し、包括的な API、ビジネスエンティティの拡張、カスタムリソースの処理、ビジネス設定の管理、ルールを使用した拡張性管理、メッセージングによるシームレスな統合などの機能を備えています。
SAP Omnichannel Promotion Pricing
プロモーションルールを適用して、商品の実効販売価格を計算するサービスです。API を使用して価格計算、プロモーションと通常価格の読み取り・削除が可能です。また、価格計算のカスタマイズ、プロモーションと通常価格のクラウド環境への送信、プロモーションの作成と価格導出ルールの維持、商品セットに使用するカスタム属性の維持も可能です。これらの機能は、Configure Omnichannel Promotion Pricing、Maintain Promotions、Configure Generic Attributes などのアプリを通じて利用できます。
SAP Secure Login Service
SAP GUIインターフェースを使用する際に、多要素認証(MFA)とシングルサインオン(SSO)を可能にするクラウドサービスです。パスワード、TOTPトークン、X.509証明書などの認証要素や、Windows Hello、macOS Touch ID、FIDOなどの認証デバイスに対応しています。認証はWebブラウザで行われ、成功するとSNC、SSF、TLSで使用できる短期ユーザー証明書が発行されます。また、管理用のWeb UIも提供されており、X.509証明書とKerberosを使用したAS ABAPへの認証も可能です。マルチテナントアプリケーションでも利用できます。
SAP Solution Lifecycle Management service
複雑なビジネスアプリケーションの継続的なデプロイ、設定、保守を改善するためのサービスです。マルチターゲットアプリケーションとソリューションモデリングの概念を活用し、ソリューションのデプロイ、更新、監視、削除といったライフサイクル管理を支援します。ソリューションは、コックピット、コマンドラインクライアント、またはCTS+ツールを使用してデプロイできます。更新も同様のツールで行え、コックピットで各コンポーネントの状態やライセンスなどを監視できます。削除も可能ですが、外部リソースと接続されたコンポーネントは削除されません。さらに、他のサブアカウントが提供するマルチテナントソリューションを、エンタイトルメントが付与されていればサブスクライブして利用することも可能です。
SAP Task Center
SAPアプリケーションと連携して、エンドユーザーが割り当てられたすべての承認タスクにアクセスできる、単一の入口を提供します。タスクは、SAP Task Center Webアプリケーションを通じてアクセスできます。様々なプロバイダーアプリケーションからのタスクを統一されたRESTインターフェースで統合し、タスクキャッシュに保存することで、復元性と瞬時のアクセスを確保します。SAP Task Center Webアプリで自分に割り当てられたすべてのタスクにアクセスし、事前定義された条件に基づいて表示されたタスクを検索、ソート、フィルタリングできます。また、完全なタスクの詳細とアクションセットについては、ネイティブタスクアプリケーションに移動できます。
SAP Translation Hub
UIテキストやドキュメントを翻訳するためのサービスです。SAP承認の翻訳・用語リポジトリ、機械翻訳、企業独自の言語データを利用できます。APIやUIベースのワークフローで翻訳リソースにアクセスし、開発者は開発中にソーステキストの提案を受けられます。ABAP拡張の翻訳、SAP Web IDEでのUIテキストの提案や翻訳、ByDワークセンターの翻訳、トレーニング資料の翻訳など、様々な統合シナリオに対応しています。UI上で翻訳プロジェクトを管理し、複数のリポジトリからの翻訳、事後編集、レビューをまとめて行えます。独自の言語データを統合することで、翻訳品質の向上と作業効率化が可能です。また、機械翻訳を利用したドキュメント翻訳サービスも提供しています。
SAP Variant Configuration and Pricing
製品の正確かつ効率的な構成と価格設定を行うアプリケーションを構築できます。SAP バリアント選定と販売価格設定の知識を活用して、製品と価格設定ルールをモデル化し、どこでも使用できます。独自のアプリケーションと SAP バックエンド間で、スムーズなエンドツーエンドのデータフローを実現します。SAP ERP または SAP S/4HANA から SAP クラウドに関連データを複製することで、クラウドサービスがバックエンドの負荷や可用性に関係なくデータを使用できるようになります。
Service Manager
接続された任意のランタイム環境から SAP BTP サービスを利用できるようにし、サービスインスタンスの作成を追跡・管理し、異なる環境間でサービスとサービスインスタンスを共有できるようにします。主な機能は、プラットフォームを登録してネイティブ環境から SAP BTP サービスを利用できるようにすること、SAP BTP サービスオファリングをインスタンス化して利用できるようにすること、既存のサービスインスタンスへのアクセス詳細を取得・管理すること、サブアカウントで利用可能な SAP BTP サービスオファリングを一覧表示することです。
UI5 flexibility for key users
UI5 アプリケーションに UI 適応機能を提供します。キーユーザーは、アップグレードや修正の影響を受けずに、他のユーザーに影響を与えることなく、UI を変更できます。主な機能は、サポートされている UI5 コントロールの UI 適応、フィルタービューやテーブルビューの作成と共有、UI 変更のドラフト保存、バージョンの管理、エンドユーザーによるパーソナル設定、マルチテナントサポート、SAP Data Custodian Key Management Service を使用したデータの暗号化です。
Usage Data Management Service
SAP BTP のクラウドデプロイメントにおける全サービスとアプリケーションの利用情報を収集・保存し、分析、レポート、ライセンス監査のために利用可能にするREST APIを提供します。このサービスは、リソース計画とクロス課金のために、情報を蓄積し、いくつかのビジネスシステムにレポートを提供します。顧客は、SAP BTPコックピットのUsage Analyticsページなどで利用状況データを確認することもできます。これらのAPIは、クラウド管理ツール機能セットBを持つアカウントにのみ関連します。主な機能は、月間使用量、サブアカウント使用量、月間サブアカウントコストの取得です。
Web IDE Full-Stack
ビジネスユーザー向けのアプリ開発を包括的に支援する開発環境です。HTML5、SAP HANA、Javaなどを活用し、UI、ビジネスロジック、データベース層を含むフルスタックアプリを開発できます。SAP Fioriアプリの新規開発や拡張、SaaSソリューションやS/4HANAクラウドサービスの拡張、モバイルアプリやIoTアプリ開発など、幅広い用途に対応します。SAP FioriのUX原則に沿った開発や、標準アプリのカスタマイズも可能です。Git、SAPUI5、SAP Fiori launchpadなど、SAPの各種サービスや技術とも連携し、開発効率を高めます。
Work Calendar
アプリケーション開発を効率化するAPIを提供します。国や工場のカレンダーに基づいて、平日、休日、稼働日などの情報を取得できます。主な機能は、工場カレンダーや祝日カレンダーの一覧取得、特定のカレンダーの詳細取得です。特定のカレンダーの詳細取得では、平日や稼働日の判定、日付属性、プロジェクトの開始日や終了日の算出などが可能です。これらのAPIを活用することで、カレンダー情報を扱うアプリケーション開発を簡素化できます。
まとめ
以上、「SAP BTPサービスまとめ・一覧」はいかがでしたか。SAP公式から「New & Featured」として紹介されているものが16サービス、「Always Free & Free Tier Services」として紹介されているものが58サービスありました。気になったサービスや、開発プロジェクトで導入検討しているサービスがある場合、以下に紹介するヘルプポータルのドキュメント、チュートリアル、もしくはコミュニティブログを活用することで、最新情報を含めた深い知識を得ることができます。また、プロダクトのロードマップを確認することで、今後の機能拡張の予定も知ることができます。SAP BTPがますます使い勝手が良くなっていくことが期待されますね!
今後もSAP BTPが提供するサービスは拡充されるため、最新情報のキャッチアップはもちろん、定期的・継続的な記事投稿についても続けていきたいと思います!
参考記事
SAP Discovery Center
https://discovery-center.cloud.sap/protected/index.html#
SAP Help Portal(Document) – SAP Business Technology Platform(SAP BTP)
https://help.sap.com/docs/btp?locale=ja-JP
SAP Learning – SAP Tutorials
https://developers.sap.com/tutorial-navigator.html
SAP Community – SAP Business Technology Platform
https://community.sap.com/
SAP Road Map Priorities
https://roadmaps.sap.com/welcome
投稿者プロフィール

- 新卒からIT業界を歩き続けています。基幹系・オープン系システムのアプリ開発やプロジェクトリード、Web制作や社内ツール開発をしてきました。現在はSAPテクノロジー(主にSAP BTP)の仕事を担当しています。